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皮膚病
アトピー
① アトピーの概要
遺伝的素因を持つ子(遺伝的にアトピー性皮膚炎になりやすい犬種は下記の図を参照)が環境中のアレルギー原因物質(アレルゲン)を吸引したり、吸収することで発現するアレルギー性皮膚炎です。現在、アトピーというと「アトピー性皮膚炎」の代名詞のようになっていますが、アトピー(atopy)とはギリシャ語のatopiaからきています。このatopiaとは、「奇妙な」「分類のしようがない」という意味です。つまり「アトピー性皮膚炎」とは、今までの医学が当てはまらない不明な病気(皮膚炎)ということになります。
最初に症状がみられるのは通常1歳から3歳の間とされていますが、原因物質が環境中にあることから完全な排除が難しく完治させることが難しい皮膚炎です。しかし、完治を放っておくと病状がひどくなり、ペットに辛いおもいをさせてしまいます。
ウエスティー | 柴犬 | ダルメシアン |
G・レトリバー | L・レトリバー | シーズー |
シェルティー | ボストンテリア | マルチーズ |
② 症状
主な症状として体中かゆがる行為や足をなめる、顔・耳・口・のど・首・脇をかいたり毛が抜ける、赤いブツブツがあったり眼や耳のまわりが赤い、他方でお尻や指の間に皮膚病があったりにおいが臭いといったしぐさがみられます。犬によってはほこりやダニ、花粉などに敏感に反応してアレルギーの元となり、皮膚をしきりに舐めたりかいたりすることがあります。そのため、皮膚が傷ついたりただれたりしますので、この症状が長く続くと皮膚が厚くなり乾燥することがあります。
③ 診断と治療
ノミアレルギー性皮膚炎
① ノミアレルギー性皮膚炎の概要
春から夏にかけて毛が抜け変わるのは自然な現象ですが、症状としてかゆみがでるのであれば、皮膚病やノミ・マダニには気をつけるべきです。
そのことから、抜け毛の季節にはよくブラッシングしてあげましょう。その際、抜け毛が多いことに加え、ある部分だけにかゆみ、フケや発疹がでるといった症状は、皮膚病の徴候です。
原因はノミやマダニなどの外部寄生虫、細菌性のもの、ホルモンのアンバランス、カビ(真菌)、アレルギーなどが挙げられます。患部が広がらないうちに獣医師に診てもらいましょう。そのなかでも、春から夏にかけて多くみられるのは、ノミアレルギー性皮膚炎です。
② 症状
ノミアレルギー性皮膚炎の症状の程度には個体差がありますが、ノミの寄生の量に必ずしも比例はしません。多量のノミが寄生していても痒がることもなく、アレルギー症状を起こさない個体もあり、逆に1回吸血されただけで何日間も痒がる個体もあります。
症状としては、背中の腰あたりを中心に毛が抜け、小さな赤い発疹ができますが、肛門の周り、外陰部、後ろ足、耳の後ろにも見られることもあります。周辺には黒い粉のようなノミの糞がつき、犬はその辺りを舐めたり、噛んだり、掻いたりします。重症例では、尾根部から大腿部にかけ広範囲に脱毛し、表皮が腫れ、ヒダ状になります。
③ 診断と治療
毛包虫病
① 毛包虫病の概要
アカラスという通称で知られるのは、毛穴に巣食い、厄介な皮膚病を引き起こす、体長0.2~0.3ミリほどのニキビダニが原因です。毛包に巣食うため、毛包虫ともいわれます。
子犬の場合、ニキビダニが感染して発症しても範囲が限られ、症状が軽いことから九割前後は自然治癒すると考えられています。しかし、厄介なのは成犬や老齢期の犬が発症した場合です。以前は、治りにくい皮膚病の代表でしたが、近年では毛包虫を殺す有効な治療法がいくつか認められ、治癒もしくは維持しやすくなりました。
② 症状
毛包虫病生は、生後~12ヶ月の性成熟期をはさんだ幼い時期に発病するといわれ、症状の始めとしては口や下顎、目の周囲、前足の前面などの皮脂線の多くに分布する皮膚に毛が抜けた部分が徐々に広がっていき、やがてニキビのようなものがたくさんでき、それらが広がりただれを起こすようになります。
原因としては、子犬が母犬から感染して発育期に発病するのが多いです。潜在的には、犬の半数以上が毛包虫をもっているといわれていますが、それらの犬がこの病気になるとは限りません。毛包虫症の発病や進行は、犬種による発病のしやすさ、犬の免疫や抵抗力の違い、ホルモンのバランス、食事の傾向などが関係しているようです。10歳以上の老犬にもこの病気にかかりやすいですが、高齢で発症すると治りにくいというのが特徴です。
③ 診断と治療
皮膚糸状菌症
① 皮膚糸状菌症の概要
皮膚糸状菌とは、皮膚にカビが生える皮膚病ですが、皮膚糸状菌を単純に「白癬菌」とも呼ばれます。皮膚糸状菌は人だけでなく、免疫の弱っている犬や猫、ハムスターなど多くの哺乳類に寄生します。また子犬やウサギで発生すると、抱く機会の多い子どもや女性の皮膚に感染することがあります。その際、湿気のために皮膚が弱っていると皮膚糸状菌が侵入しやすくなり、感染します。
皮膚糸状菌が侵入しますと、その脱毛の様相はリングワームと呼ばれ、脱毛は円形に拡がっていきます。腕や首周りなどは直接接触する場所なので、皮膚病変がみられやすいです。
② 症状
皮膚糸状菌症にかかると、犬の顔のまわり、耳、四肢などに、主に赤く大きめの発疹をともなった円形に近い形の脱毛が起こり、その周囲にフケやかさぶたが見られます。
皮膚糸状菌症は、治ったように見えてもしばらくは菌が体表状に残り、他の犬や人への感染源となります。そのため早期の治療が望まれます。
③ 診断と治療
膿皮症
① 膿皮症の概要
膿皮症は細菌感染に起因する皮膚病の総称で、犬では頻繁にみられます。犬の皮膚や被毛には、どんな場合でも細菌がすくなからず付着しているといえますが、皮膚が健康であれば、それらがみやみにふえて皮膚に病気をおこすことはありません。それは、皮膚自体が菌の異常な増殖をおさえる力をもっているためです。
そうであっても、体の免疫力が低下することに加え、年を重ねることで皮膚が抵抗力を失うと菌が異常に増え、皮膚が化膿することがあります。これを膿皮症といいます。
② 症状
症状としては、細菌が増えることにより皮膚が部分的に赤くなり、しだいにかゆみを起こします。膿皮症は、体中に起こりますが、顔や脇、内側や指の間などにあらわれます。
膿皮症を発症すると、初期の段階では毛の根元の毛包だけに菌が増え、皮膚の表面に小さな赤い発疹(ブツブツ)が局所的にでき、かゆみを起こします。進行すると、患部が丸く広がり、中心部に色素が集まって黒くなり、腫れたり、膿を出したりします。それが、あたかも牛の目のようになるので、ブル・アイ(牛の目)と呼ぶこともあります。
膿皮症はかゆみが強いため、犬が舐めたり引っかいたりすることによって、1日にして体の広い部分から毛が抜けてしまうこともあります。こうした突発性の脱毛は、なめたり、噛んだりしやすい部位、つまりは四肢やお尻の部分によくあらわれます。
膿皮症は夏に発症しやすく、症状が進行すると病巣が皮膚の深部におよび、膿をもつことや患部がふくれあがることでひどい痛みが生じたり、発熱したりするようになります。
③ 診断と治療
CDA
① CDAの概要
CDA(Color Dilution Alopecia)は、カラーミュータント脱毛症とも呼ばれ、毛包の発育異常とメラニンの形成障害を特徴とする遺伝子に関わるといれています。換言すると、ダイリューションと呼ばれるブルーの毛色を発現する遺伝子に関わると言われているもので、イザベラという毛色はブルーとチョコが同時に発現した毛色です。
この病気は、いろいろな犬種、ブルー並びにフォーンの被毛を持つドーベル、ミニピン、ダックス、プードル、ウィペット、イタグレ、サルーキが挙げられます。
発生する頻度が高い犬腫
ドーベルマン・ピンシャー・ダックスフンド・チワワ
ヨークシャー・テリア・ミニチュア・グレーハウンド
② 症状
CDAは3か月から3歳くらいまでに発症し、進行性の脱毛が見られます。また、被毛が薄くなるのに伴い、ふけがでるだけでなく体中がブツブツし、毛穴の細菌性の炎症を示し、最終的にはかさかさした脱毛となっていきます。
体幹に主にみられ、頭部や四肢には殆んどみられないのが特徴ですが、二次的な細菌感染性の皮膚炎がなければ、痒がらないことが多いです。また、毛の中のメラニンの分布が不均等なため、生えてきた被毛は非常にもろく、すぐポキポキと折れてしまうため、その部分は毛が生えていないように見えます。
③ 診断と治療
緩和治療としてメラトニンやレチノイド、必須脂肪酸が毛や皮膚の状態を改善するために使用されます。
2次的な感染症は抗生物質が必要で、シャンプーや保湿もふけの量を減らすために使われます
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